VOL.2 Your clothing should look like you, not us.



1920年代のジャケットのシルエットは画一的かつ極端なものでした。肩には重いパッドが入り、ウエストは極端に絞られ、深いプリーツが入る。グリエコ兄弟はそうしたトレンドに反抗するように、シンプルでクリーンなライン、身体の自然な形を尊重したシルエット、時代を超越したエレガンスを追求したのです。
また、スーツといえば「テーラーが手縫いであつらえる注文服」であった時代に、工場で量産する既製服化にも着手。マシンと職人の分業体制により、アメリカらしい合理的な生産体制を築き上げたのです。
こうした洋服づくりを続ける中でブランドの哲学を打ち立てました。それが「Your clothing should look like you, not us.=(あなたの服は、私たちではなく、あなた自身のように見えるべきだ)」という言葉です。服は着る人の個性を引き立てるものであり、服そのものが主張してはならない。これこそが、ニューイングランド地方に起源を持つSouthwickの哲学なのです。
この哲学を体現する4つのキーワードが「控えめなエレガンス」「耐久性と実用性」「知的洗練」「オーセンティシティ」です。
ニューイングランドの伝統では、富や地位を誇示することは品格に欠けるとされました。高品質な服を着ることは重要ではあるものの、それは他人に見せびらかすためのものであってはならない。そうした控えめな姿勢にこそエレガンスが宿るのです。
良い服の条件には「長く着られる」ことが挙げられます。流行に左右されないクラシックなデザインはもちろんのこと、耐久性のある生地、そして確かな仕立てでなければならない。これらを備えていなければ、真に実用的な洋服とは呼べないのです。
当時のアメリカでは服装は教養と洗練を示すものでした。しかし、決して服装だけで判断されることはありませんでした。真の紳士とは何を着ているかではなく、何を考え、どう行動するかで評価されるべきである。そうした知的洗練が求められました。
そして、トレンドに迎合せず、これらの信念を守り続けること。装飾や虚飾を限りなく排除し、オーセンティックであること。それを貫き続けたブランドこそが「本物」であると考えられているのです。