VOL.5 ショルダーが暴く出自と野心

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この映画において最も象徴的なのは、「欲は善である」という言葉。ゴードン・ゲッコーのキャラクターを端的に表したこのセリフは、「欲は導く。欲は物事を明確にし、道を開き、発展の精神を磨き上げる」と続きます。

その時の彼の衣装は、ネイビーのダブルブレストに白いダブルカフのシャツ、ドット柄のタイ、白いポケットチーフ。四つボタンの一つ掛け、ベントなし。教科書どおりの正統な着こなしではありますが、異様なまでに肩が張り出しています。

衣装を担当したフラッサーは、シャツの肩にまで薄いパッドを入れ、カフを広く、襟先を鋭くしたといいます。いうまでもなく、ゲッコーの身体をより大きく、より強く見せるためです。

また、別の場面では、ダブルのピンストライプのスーツにボーダーのシャツを合わせるという型破りな着こなしで、ゲッコーの傲慢さを描いています。

チャーリー・シーン演じるバド・フォックスのスーツは、よりわかりやすく、ステータスを示す舞台装置となっています。バドは元々、証券会社で一介のサラリーマンとして働いていました。

ある日、ゲッコーという成功者に出会い、葛藤しながらもゲッコーのインサイダー取引の手助けをすることになり、やがてかりそめの出世を手にすることになります。彼が富を得るのにしたがって、バドの装いもまたステップアップしていきます。

バドが最初に登場するシーンでは、体に合っていない灰色の吊るしのスーツ、ボタンダウンのシャツ、地味な色のネクタイ、力のないポケットチーフという、真面目でパッとしないスーツを身に纏っています。

しかし、ゲッコーの世界に入り込むようになると、バドのスタイルは変わっていきます。派手なサスペンダーを吊り、白襟のシャツを着るようになり、腕時計はカルティエになり、手首には金のブレスレットが光ります。

ゲッコーの模倣者になっていく過程が、台詞ではなく服で描かれるのです。しかもそれは、ただ高級な装いを纏うようになるという単純なものではありません。ゲッコーが独自のスタイルを確立しているのに対し、バドのスタイルはステレオタイプな「成金趣味」に留まるものと言っていいでしょう。

バドの体に馴染みきらない高級な仕立てのスーツは、エンディングで迎える彼の破滅を予言していたのです。

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